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名曲カバー
『 枯 葉(Autumn Leaves)』演奏/Djivan Gasparyan Jr.
世界的に有名なシャンソン曲。ジャズのカバー曲としても多くのミュージシャンに演奏されてきた。ドゥドゥク演奏は、ジヴァン・ガスパリヤンJr(ジュニア)氏。伝説のドゥドゥク奏者ジヴァン・ガスパリヤン氏の孫で、祖父の跡を継ぎドゥドゥク奏者となった。ドゥドゥクのジャズとの相性の良さを感じさせる雰囲気が見どころ。
『 ユー・レイズ・ミー・アップ(You rase me up)』演奏/Arsen Petrosyan
トリノ五輪でフィギュアスケートの荒川静香選手が使用したことで広く知られるようになった曲。ドゥドゥク演奏は、若手ドゥドゥク奏者アルセン・ペトロシャン氏。ゲヴォルグ・ダバギャンのもとで修行し、現在も母国アルメニアを拠点に、さまざまな演奏活動を行っている。オンラインでのレッスンも行っており(Zoom/英語可)ドゥドゥクJAPANにも彼からレッスンを受けているメンバーがいる。
Arsen Petrosyan公式サイト https://www.arsenpetrosyan.com
レッスンやドゥドゥク購入の相談 petrosyanduduk@gmail.com
※直接のやり取りが心配な方は、一度ドゥドゥクJAPANへお問い合わせください。
『 Overjoyed 』演奏/Aram Margaryan
スティービー・ワンダーの1986年に発表したヒット曲。演奏はアルメニアの若手ドゥドゥク奏者アラム・マルガリヤン氏。バックボーカルは、いま世界中で人気のミュージシャン、ジェイコブ・コリアー氏。動画は2021年にコリア―氏が#overjoyedchallengeとして呼びかけたプロジェクトで、マルガリアン氏がドゥドゥクで共演したもの。
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映画やゲームの世界で聴くドゥドゥクの音色
映画『グラディエーター』演奏/Djivan Gasparyan
2000年公開:ラッセル・クロウ主演の映画『グラディエーター』では、ドゥドゥクの音色が映画全体の世界観を創り、ドゥドゥクという楽器をはじめて知った方も多いはず。演奏は、世界で最も知られたドゥドゥク奏者、ジヴァン・ガスパリヤン氏。
アルメニアの首都エレバン市内に、伝説のドゥドゥク奏者(御三家)の銅像が並んでいる。その中のひとりがジヴァン・ガスパリヤン氏。2021年に92歳で逝去。まさに「ドゥドゥクの神様」といわれる存在であった。動画でジヴァン氏の隣で演奏する若い奏者は(前述)彼の孫のジヴァン・ガスパリヤンJr氏。
また、銅像になっている伝説のドゥドゥク奏者は、ジヴァン氏の他には、Vache Hovsepyan(ヴァチェ・ホープセピヤン)氏と、Levon Madoyan(レヴォン・マドヤン)氏。
左/ヴァチェ・ホープセピヤン https://www.youtube.com/watch?v=3GqrPX7xqB8
中/レヴォン・マドヤン https://www.youtube.com/watch?v=T2-rlL59Xz4
右/ジヴァン・ガスパリヤン
ゲーム『原 神』
2020年に発売され、世界中で人気のオープンワールド・アクションロールプレイングゲーム。ゲーム内のBGMとして一部ドゥドゥクが使われている。その他のゲームでも民族系BGMとしてドゥドゥクがよく使用されている。
ゲーム『ソニックフロンティア』
2022年に世界同時発売されたソニックシリーズの一作。冒険の舞台となる島のBGMでは、世界のさまざまな民族楽器を使用し、荒涼とした砂漠の島を演出。その中でドゥドゥクも演奏されている。尚、演奏はドゥドゥクJAPANメンバーでもある樽見ヤスタカが担当。
『Prelude and Nostalgia』演奏/Pedro Eustache
ベネズエラ出身のリード・木管楽器奏者、ペドロ・エウスターシェ氏。動画は、彼がギリシャのミュージシャンYanni氏と共演した時のもの。再生回数は1億回を越え、ドゥドゥクが演奏される動画として(おそらく)もっとも見られた動画。国や業界にとらわれずに、映画音楽や世界中のアーティストと共演するなど、さまざまな分野で活躍する世界的奏者。
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吹奏楽で馴染みのある曲
『アラギャス山/Alagyaz』演奏/Gevorg Dabaghyan
吹奏楽の定番曲「アルメニアン・ダンス/パートI」の曲中で聴いたことのある人も多いはず。
ドゥドゥク演奏は、ゲヴォルグ・ダバギャン氏。
現存するドゥドゥク奏者のなかで、もっとも知られる巨匠。2008年にドゥドゥクを世界文化遺産へと導いた立役者で、アルメニアの伝統奏法を伝えるべく後進の育成にも力を入れている。今世界で活躍するアルメニアンドゥドゥク奏者の多くが、ダバギャン氏の影響を受けていると言っても過言ではない。海外ではチェロ奏者のヨーヨー・マと共演するなど、伝統を重視しながらも活動は多岐にわたる。ドゥドゥクJAPANにもダバギャン氏にドゥドゥクを教わったことのあるメンバーがいる。
『杏の木/Tsirani tsar』演奏/The National Duduk Ensemble of Armenia
「アルメニアン・ダンス/パートI」 の冒頭に使われている曲。演奏は、ドゥドゥクのアンサンブルThe National Duduk Ensemble of Armenia。さまざまなキーのドゥドゥクを使用し、絶妙なアンサンブルに仕立てているところが見どころです。
『ヤマウズラの歌/Kaqavik』
「アルメニアン・ダンス/パートI」 に使われている曲。アルメニアの子どもたちが口ずさむ曲。ドゥドゥクでも吹く曲ですが、今回はドゥドゥクではなく、現地アルメニア語の歌でお聴きください。
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お勧めのアルメニア曲
『Dle Yaman』演奏/Djivan Gasparyan
アルメニア人ならば誰もが知っている国民的曲。演奏は、同じくアルメニア人ならば誰もが知っている国民的ドゥドゥク奏者のジヴァン・ガスパリヤン氏。ドゥドゥクをはじめた生徒がはじめて習う曲がこの「Dle Yaman」であることが多い。
『Ashkharhums Akh Chim Qashi』演奏/Emmanuel Hovhannisyan
18世紀にアルメニアで活躍した吟遊詩人サヤト・ノヴァ(Sayat-Nova)の一曲。
演奏は、アルメニアで活躍するドゥドゥク奏者、エマニュエル・ホヴァニシアン氏と、彼が率いるDudukman ensemble。エマニュエル氏は音楽スタジオ「Duduk-man」https://www.youtube.com/@DudukmanProduction/videos
を設立するなど、奏者以外にも、教育活動を積極的に行っていることで有名。
『Chinar es』演奏/The National Duduk Ensemble of Armenia
アルメニアに残る多くの伝統曲は、アルメニアの司祭・民族音楽学者であったコミタス・ヴァルダペットによって編曲・作曲された。この曲「Chinar es」は日本人もどこかで聞いたことのあるような懐かしさを感じるメロディが印象的。演奏は前述のドゥドゥクアンサンブル The National Duduk Ensemble of Armenia。
『Ah Nare』演奏/Ertan Tekin
演奏は、トルコのドゥドゥク奏者、エルタン・テキン氏。主旋律を張ることが多いドゥドゥクだが、古楽器との相性、そして何よりヴォーカルとの相性の良さが魅力の演奏。さまざまな国で演奏されるからこそ、ドゥドゥクという楽器の幅が豊かになっていくのを感じる演奏。
『Garuna (Spring) 』演奏/Lucie Lelaurain & Ertan Tekin
ドゥドゥク奏者は男性ばかりではありません。フランス出身の女性ドゥドゥク奏者のルーシー・ルローレイン氏。上述のエルタン・テキン氏との共演した時の動画です。
『Eshkhemed』演奏/Argishty
18世紀にアルメニアで活躍した吟遊詩人サヤト・ノヴァ(Sayat-Nova)の一曲。なぜかドゥドゥクJAPANのメンバーが吹くことが多い曲。
ドゥドゥク演奏はアルギシュティ氏。情熱的な奏法が特徴的で、YouTubeで見ることができるドゥドゥク演奏動画にはアルギシュティ氏の演奏する動画が多い。
『Hijaz』演奏/Georgy Minasov
演奏は、アゼルバイジャン出身のドゥドゥク奏者ゲオルギ・ミナソフ氏(2020年逝去)
奏者としてだけではなく、ドゥドゥクの製造や、ドゥドゥク音楽の研究にも力を注いできた。ミナソフ氏が書いたドゥドゥクに関する二冊の本は「ドゥドゥクの教科書」として今でも世界中で使用されている。ドゥドゥクJAPANの樽見ヤスタカは生前のミナソフ氏とも交流があり、彼が監修するモデルのドゥドゥクを所有している。
「ドゥドゥクの教科書」に興味のある方は、下記Amazonでも購入可(英語・ロシア語・アルメニア語)
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『Kele Kele』Apo Yildiz
ギターとの相性がいいドゥドゥク。演奏はアポ・イルディズ氏。この曲「Kele Kele」も、ドゥドゥクを習うとまず覚える曲のひとつ。メロディにテンポ感があるため印象的。
歌詞もある曲なので、アルメニアではこの曲に合わせて皆で歌うこともよくある(後述のアルメニアでのドゥドゥクワークショップ動画を参照)
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魅力的な演奏スタイルのドゥドゥク
『Akhalqalaqi』演奏/Gevorg Dabaghyan 他、教え子達たち
まさに伝統アルメニアンドゥドゥク超絶技巧の最終到達点。
一人一人、ドゥドゥクの腕を披露していく。即興演奏のパートも多く、奏者独自のアレンジも見どころのひとつ。
師匠であるゲヴォルグ・ダバギャン氏(前述)を筆頭に、教え子たちが技を競い合う、圧巻の動画。
『Gurdjieff Ensemble at Karahunj』演奏/The Gurdieff Ensemble
アルメニア人の著述・作曲家として知られるゲオルギイ・グルジエフ氏(1949年逝去)グルジエフ音楽(その多くがピアノ曲)を、アルメニアの伝統楽器のアンサンブルで演奏しているのがThe Gurdieff Ensemble。
さまざまなアルメニア伝統楽器を使用し、まさにアンサンブルの集大成ともいえる。
『Sunrise』演奏/Harutyun Chkolyan
いま最も勢いのあるドゥドゥク奏者ハルチュン・チコリヤン氏(動画はハルチュン氏がテレビ取材を受けた時に放送された、彼のMVから一部を抜粋したもの)。若い頃から数々のドゥドゥク大会で優勝するなど、その才能を発揮してきた。現在はアルメニア伝統曲を現代風にアレンジしたり、オーケストラと共演したりと、世界各国で活躍している。
ドゥドゥクJAPANの鈴木遣徒は、アルメニアでハルチュン氏に出会い師事。ハルチュン氏は日本でもオンラインのレッスンを行っている(Zoom/英語可)
Harutyun Chkolyan公式サイト https://www.chkolyanduduk.com
レッスンやドゥドゥク購入の相談 Chkolyanduduk@gmail.com
※直接のやり取りが心配な方は、一度ドゥドゥクJAPANへお問い合わせください。
『Art of bread』演奏/Norayr Kartashyan and MENUA
アルメニアの伝統音楽だけではなく、現在進行形でドゥドゥク曲が作曲されている。作曲はノライル・カルタシアン氏。
演奏は、ドゥドゥク奏者でもあるカルタシアン氏と、彼が率いるアンサンブル集団。チェロとの相性や編曲も素晴らしい。
サヤト・ノヴァ『lalanin』をアレンジしたこちらの動画も必見
『Lorik & Thaghkadzori』演奏/Gevorg Dabaghyan&Naregatsi Orchestra
悲しい音色の印象が強いドゥドゥクですが、アルメニアでは「踊り」にも演奏される明るい伝統曲も数多くあります。
演奏は、アルメニアの民族音楽アンサンブル「ナレガツィ・オーケストラ」。豊かなアルメニア伝統音楽を若い世代へ向けて関心を呼び起こそうと2008年にナレガツィ美術館の後援により発足(ナレガツィ芸術学院)。さまざまな伝統楽器による編成と編曲が見どころ。
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番外編
人の声にもっとも近いと言われる楽器!?
宴で何やら、はじまったと思ったら・・・
アルメニア:次世代の子どもたちに向けて、ドゥドゥク・ワークショップ
おすすめ動画の最後は、エレバンにあるナレガツィ芸術学院で開催されたドゥドゥク・ワークショップの様子を紹介します。講師は前述したエマニュエル・ホヴァニシアン氏。彼もまた若い頃に師匠であるゲヴォルグ・ダバギャン氏(動画内の観覧席に姿が見える)から手ほどきを受けたひとり。代々受け継がれていく伝統。この子たちの中から将来のドゥドゥク奏者がうまれていくかもしれない。